とにかく効果が出るポイント制人事考課システム
ポイント制人事考課システムは私がマレーシアで製造業の社長をしていたときに離職率の高さ、モチベーションの低さに悩まされ、その解決策として苦しんだ末に生み出したシステムです。
割と手軽に導入できますし効果も実感できるはずです。
マレーシアだけでなく、東南アジア諸国と言っては言いすぎかもしれませんが同様の苦労をされている社長は多いのではと思います。
ちなみにこの内容は2018年4月にPasona Malaysia様主催の経営者セミナーにて講演させていただいたものです。
御社の役に立つかもしれない、このポイント制人事考課システムの顛末を、よろしければお読みください。
人事考課へ『ポイント=社員の個人保有点数』の必要性と背景
悩みだらけでスタートしたマレーシア生活
とはいえ着任早々に悩んだわけではありません。
夢と希望に満ちた海外生活のはずが、まさか半年間休み無しになるとは思いもしませんでした。
働き方改革なんていう言葉はまだありませんでした。
このときの状況をお話しすると新製品ライン立ち上げで日本からは連日のように設備が送られて来たり、クリーンルームはじめインフラ準備や材料調達等モノに関しては大変ではありましたが時間経過とともに形にはなっていきました。
一方ヒトについては新しい生産部門の設立でヒトを集め、研修し、9月からの量産立ち上げに間に合わせなくてはなりませんでした。目標は40名でした。
ちなみに日本はリーマンショック後の就職氷河期が始まりつつあり、マレーシアの状況とは逆でした。
ヒトが集まらなかった頃の率直な感想です。
- なぜすぐ辞める(ひどい例だと昼休みから戻ってこない)
- なぜ入ってこない
- なぜ長続きしない(最初から腰掛けの若者が多かったです。彼らは政府系の仕事が決まるまでのつなぎと正直に言います。ある意味素直で気持ちがいい)
- なぜやる気を出さない
- 言われたことだけやる
- 昼間サボり残業・休出したがる(残業・休出の割増賃金を狙ってきます)
- イベント頑張る(Annual Dinnerは楽しかったですが)
とにかくヒトが欲しい(出来れば良いヒトが)
一日が過ぎるのが早く感じました。面接に来ないことには始まりませんのでとにかくあの手、この手とできることは片っ端から実行しました。
- 新聞(The Star, 星州日報,Harian Metro)
- Job Street
- ちらし配布(ポスティング、レストラン)
- 看板掲示(会社入口、周辺)
- 派遣会社
- 外労採用(直接、派遣)
- 人的資源省に外労枠拡大申請
- 従業員、外部からの紹介(紹介料付き)
- Homepage,Facebook
山間部にも足を運びました。
まさかそこで自分自身がマレーシアに来る前にネットで読んだ笑い話と同じ目に遭うとは思いもよりませんでした。
その笑い話というのが、「漁師とビジネスマン」というもので、知ってる方も多いでしょう。
間にあわせた量産開始、それでも続く採用活動
人事部門の地道な求人活動の甲斐や社員からの紹介、ベトナムやミャンマーに赴いての採用面接で何とか量産開始の9月に間に合わせることが出来ました。
量産も軌道に乗り始めた頃、人事から「何人辞めるようです」と時々報告が入るようになり、最初のうちは対症療法如く減少した人員の補充を行いしのいでいましたが、さすがに急に辞められたり入社したと思ったらすぐに辞めたり(短い人では2時間)されると徐々に補充が追いつかなくなって来ました。
それでも当時は日々の生産を計画通り達成していくことで生産部門は手一杯の状況で補充また補充の連続でした。そのためそれに費やすコストも必要だからと支払っていましたが、月当たりの求人費用は当時のオペレータ十数人分にもなっていました。
ちなみにこの頃の月平均離職率は6%台でした。
生産開始から1年が経つ頃には昇給などでキーマンをつなぎ留めておいたせいか少しずつ生産も安定して来ました。
ローカルワーカーの出勤率の悪さと怠慢さには目に余るものが有りましたが、安定的な生産を支えていたのは外国人労働者達でした。
彼らは少々きついシフトであっても不平不満も言わず快く引き受けてくれました。生産開始当初から働いている外国人労働者はスキルの点からもローカルワーカーを凌いでいましたので、従前昇給や賞与の際彼らは人事考課に関係なくほぼ一律に評価されていましたがこれを改めローカルと同等の評価をすることとし彼らのモチベーションを更にあげることとしました。
この決定にはローカルから不満が出ることも有りましたが根気強く説明し納得してもらいました。内心不満を持って辞めていくローカル社員が多く出るのではという懸念がありましたが、その時はその時と腹を括って進めました。
不満を持つローカル社員がいる一方でこの決定について賛意を持つローカル社員がいたことも私にとって大きな勇気を与えてくれました。
辞める原因を探る
ヒトを呼び込むことも大切ですが、その一方でせっかく入社したヒトの流出も止めなくてはなりませんでした。
そのため人事担当者に指示し辞める原因をリサーチすることにしました。
結果は次の通りでした。
給料が安い
昇給は一時的には効果がありますが、他社員との調整もありますし、マレーシアでは一度上げたら下げることは至難の技です。
残業が少ない。
普段休まないで欲しい。毎日のように遅刻もしないでよ。
仕事が面白くない、きつい、同じことの繰り返しでつまらない。
そういう仕事もあるよ。
しかも入社したてだから研修も必要なんだよ
政府の仕事が見つかった。
それなら最初から来ないでよ。
上司が評価してくれない、評価がみんな同じ
人事考課や力量評価に問題があるのかもしれない。
まじめに仕事していない人がいる。
それで評価が同じだとしたら良い人が辞めてしまう・・・
いろんな要素が絡み合ってるが、どうしたら良いのか?
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