ポイント制人事考課システムの誕生
人はなぜポイントに惹かれるのか?
人はなぜポイントに惹かれるのか?
これが「ポイント制人事考課システム」構築のきっかけでした。
ある朝テレビを見ていたらショッピングポイントについてその魅力や獲得方法、獲得したポイントの活用方法、他のポイントへの移行方法について詳しく説明していました。
そして多くの人が少しでも多くポイントを獲得するためにポイントが倍になる日や数倍のポイントが獲得できる特定商品を購入する様子も放送されていました。
振り返って自分のことを考えてみると、私自身もいくつかのポイントカードを持っており、獲得したポイントで支払いに補填できたりバウチャーに交換したときはとても得した気分になったことを再認識しました。
退職と補充のサイクルから少しずつ開放されてきた頃、離職率を下げる方法はないかと思い巡らせていたときにそのTV番組を見たのでした。
天啓を受けたような気になり早速「ポイント制人事考課システム」の設計を始めました。
ポイント制人事考課システムの設計
- 何に対してポイントをあげるべきか?
- ポイント数は?
- 人事考課はどのように行うべきか?
- ポイントの管理方法は?
- ポイントの交換方法は?
- 間接部門への適用方法は?
とにかくいろんな疑問が湧いてきましたが、一つ一つメモに書き出しました。
何日間かそんなことを続けていくうちに少しずつシステムの基本構想が出来上がってきました。
目的は「離職率低下とモチベーションアップ」としました。
考課項目は従前から昇給や賞与時に行っている人事考課項目を基本的な項目として次のようにまとめました。
考課要素 | 考課項目 | 基準となる考え方 |
業 績 |
仕事の質 | ノーミス ①正確さ②緻密さ③手段適合性④後始末 |
仕事の量 | ①量②スピード③納期 | |
改善工夫 | 仕事の方法改善工夫への提案 | |
指導・育成 | 部下・他部門への指導育成成果 | |
連携度 | 部署内、部署間、社外との連携度・情報共有度 |
これらの項目は目標管理と連動して管理職レベルには目標管理で設定した目標に達した場合ポイントを付与し、管理職未満の者には各自の職位において与えられる業務をしっかりと完遂した場合に上司がポイントを付与することとしました。
改善工夫については意見箱で改善提案や不平不満を受け付けていましたが、報奨が明確になると提案意欲も湧くのではという期待もありました。
次に各部門のレベルアップと原価低減、モチベーションアップを図っていくために下記項目を設定しました。
基本能力についてはいわゆる職務分掌に規定されている各部門の職位毎にレベル分けをして決めていきました。
また間接部門を含め多能工化を進めるにあたり習熟的能力の中に多能性の項目を作り、さらに難易度を決めました。
考課要素 | 考課項目 | 基準となる考え方 | |
能 力
|
基本能力 |
業務知識
|
担当業務の基礎知識、実務知識 Level 1 1合格に付き |
担当業務の基礎知識、実務知識 Level 2 1合格に付き | |||
担当業務の基礎知識、実務知識 Level 3 1合格に付き | |||
能力・技能 | 担当業務の処理能力(指導後確認テスト合格で) | ||
習熟的能力 |
多能性
|
複数工程の習熟度(2工程目より) 難易度:低 | |
複数工程の習熟度(2工程目より) 難易度:中 | |||
複数工程の習熟度(2工程目より) 難易度:高 | |||
革新 | 業務提案(新規あるいは改善。同じ案は除外) |
当時生産部門の責任者が困っていた問題は辞めないけど出勤率の悪い社員が多くいることでした。
この改善を図らないと生産現場としては計画通り生産が進まず毎月出荷残が累積されていく事態が起こりつつありました。
このように文章にするときれいに設計が進んだようですが、実際は出勤率の悪い社員を篩にかけるため、社員の多能工化を進めて行くつもりで上表の多能性を後から追加したりしました。そのための基礎として業務知識を基本能力として身につけさせることも合わせて必要でした。
それまではとにかく与えられた仕事をすれば良いと思っていたところにこのような考え方が入ってきたので少なからず反対意見もありました。
考課要素 | 考課項目 | 基準となる考え方 |
勤 務 |
本採用 | 採用Confirmation point |
継続性 | 勤務期間1年に付き(confirm後) | |
誕生日 | ||
出勤率 | 皆勤 | |
精勤(出勤率90%以上) | ||
愛社意識 | 安全衛生 | 問題箇所発見、報告 |
社員の定着を図るためにまず試用期間後の本採用時に本採用ポイントを設け、さらに入社日ポイントや誕生日ポイントで将来にポイントが獲得できることがわかる仕組みを作りました。
もう少し継続勤務すれば誕生日のポイントが貰えるとか、入社日が来るので貰えるとわかれば長くいたくなるのではないかと考えたわけです。
出勤率の悪い社員を良くするためにカウンセリングをしたり、出勤率の良い社員はそれをさらに継続できるように皆勤、精勤ポイントを設けました。
生産を安定させる上でシフト通りに出勤してくれないとその日一日の生産計画に狂いが発生し、一度狂うとその連鎖は続き月の生産実績や計画にも大きく影響し、生産体制そのものが混乱に陥る危険を孕んでいました。
もちろんある程度の余力を見越して計画してもそれを超えれば生産計画が根底から崩れます。
こうなると日本の会社からは海外工場はダメかと簡単にレッテルを貼られることになります。
また愛社意識として作業場所以外でも破損仕掛けている場所、乱雑になっている場所等を報告した場合にもポイントが貰えるようにしました。
こうすることで声高に騒いでいた5S活動に外国人労働者も積極的に参加するようになり会社の美化や安全性向上に繋がっていきました。
このように考課項目の設定や基本的な考え方をまとめ、さらにそれぞれのポイント数を決め基本設計を完了しました。
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