海外社長は5現主義を貫こう

マナブ
マナブ

5ゲン主義ではなくて5現主義ですか?

違いは何ですか?

TECCI
TECCI

良く気が付きましたね。

その通り、5現主義です。

説明しましょう。

5現主義

5ゲン主義はご存知の方も多いでしょう。
しかし私が提唱するのは5現主義です。

これは言葉遊びではありません。私自身が製造会社を経営してした経験から生まれたものです。

基本は3現主義

5現主義の基本は5ゲン主義同様3現主義です。

すなわち

  1. 現場
  2. 現物
  3. 現実

です。

この3現に

  1. 原理
  2. 原則

が加わったものが5ゲン主義です。(ゲンとカタカナになるのは3現に加わったのが2原だからです)
5現主義も3現は同じです。

5現主義と5ゲン主義の違い

では3現主義に何を加えるのかですが、それは

  1. 現時
  2. 現人

です。

2つとも聞き慣れない言葉ですよね。説明したいと思います。

現時とは

できるだけ物事が起こった時点に近づくということです。
例えば会社内で問題が発生した場合に時間をおいてその場に行くのではなく、たとえ会議中でもトップがすぐに行動を起こすことです。

確かにトップは取引先や本社、関係会社との会議も多いですし、報告書の類を作成しなくてはならず、そのために時間を取られることもありますが、自分の会社内で起きている問題をいち早く解決する手を打たないと後日いくら出来栄えのよい問題報告書を書いても褒められません。

現人とは

問題が発生したのを見た人、気がついた人、その当事者に話を聞くことです。間に人が入ると表現が変わったり、そこの責任者にとって都合の悪いことを隠したり(オブラートに包んだり)することがあります。

問題の本質を、真実を捉えないと問題解決を間違うことになります。それは時間とコストの無駄です。

5ゲン主義との違い

5ゲン主義は品質改善を主目的としているのに対し、5現主義は3現主義の現実についてもっと発生時点に近いタイミングで、よりリアルにその場にいた人に状況を確認することを経営者や管理者への意識付けを行うものです。

もちろん5現主義を取り入れたからと言って5ゲン主義をおろそかにしろと言っているわけでは有りません。両方大切です。

5現主義が生まれた背景

5現主義が生まれた背景は、私がマレーシアの製造会社を経営しているときに、主に仕損低減、不良品管理、クレーム管理の観点から3現をさらに発生時点に近い時間軸で、確かな情報を得るために思いつき実践していたものです。

もちろん問題発生が無いように事前管理で工程を回ったり、品質管理会議やデータを見ていましたがそれでも問題が起きることはあります。

そのようなときにすぐにトップがアクションを起こすことで現場担当者、責任者も一生懸命に問題解決に向き合い、事後は再発防止への対策も怠りなくできるようになったからです。

マレーシアの製造会社にはマレーシア人(マレー系、中華系、インド系)、ベトナム人、ネパール人、バングラデシュ人、ミャンマー人、インドネシア人といましたので、一応共通言語は英語でしたが、英語が苦手な社員もいましたので、ひとづてになってしまうこともありました。

ましてや組織のヒエラルキーを大切にする文化もありますから、上司への報告をするんですがその上司が自身の責任逃れから本当のことを言わないこともあります。

これは私自身が工程を巡回しているときにオペレータに「先日起きたクレームの原因はこの設備のこの部分だったらしいね」と聞いたら、「違いますよ。こちらの部分です」と私が責任者から受けていた報告と違うことを言うのでした。
その後経緯を調べると、どうやら工程責任者が自分の調整ミスを隠すために違う部分の話にすり替えて、そ~っと該当部分を手直ししたことが判明しました。

責任者がこのようなことをしたのは私の前任がミスをするとひどく怒鳴ったようで、それがトラウマとなっていて私も同じことをするのではと思っていたそうです。
私はその責任者と話して怒鳴りつけるようなことはしないからどのような場合でも正直に本当のことを話してほしいと言い、責任者もその後はミスを隠すようなことはしなくなりました。
国や言葉が違っても人と人との信頼関係の重要さを思い知りました。

企業経営と5現主義

海外の会社のトップとして企業を経営することは日本人だけの日本国内の企業経営より気を使うことが非常に多いです。

法律だけではなくその国や民族特有の文化や習慣、さらに外国人労働者がいればそれらの国のこともある程度理解しなければなりません。

会社そのものの経営や生産が順調にずーっと進むことはありません。トラブルが発生したり、法律の改正があったりとトップは休む間が無いほど会社の隅々まで気を配る必要があります。

外国人であるトップのことは周りのスタッフのみならず、全社員がよく見ています。

公平・平等に評価してくれるのか、自分たちのために一生懸命になってくれるかは文化や習慣が違っていても実感します。

そういう意味でも徹底した現場主義の姿勢は百の言葉よりも通じます。

部屋で指示するトップでは通用しません。

特に海外企業のトップは徹底して5現主義を貫きましょう。

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