
大企業では新年度の予算編成時になると、各部門へ
- ○○費は前年比5%削減
- △△費は前年比10%削減
- ××費は据え置き
といった指示が統括部門から出されることがあります。
各部門はその指示に従って予算を作成します。
しかし、その予算は数字合わせで終わっていないでしょうか。
予算作成後は忘れられ、月に一度の予実比較で差額理由を確認するだけ。
これでは本当の意味でのコストダウンにはつながりません。
本来のコストダウンとは、単に費用を削ることではなく、
利益とキャッシュを生み出す構造を作ること
です。
企業の目的は利益を生み続けること
企業の目的は利益を生むことです。
そして経営者の仕事は、将来の利益を生み出す環境を整えることです。
幹部や管理職は与えられた経営資源を活用し、社員は与えられた職務を全うする。
その結果として利益が生まれます。
つまりコストダウンも、利益を生むための手段であり、目的ではありません。
経営者が最もコントロールできる費用
経営者自身が最もコントロールしやすい費用があります。
それは役員報酬です。
多くの費用は取引先や市場環境の影響を受けます。
しかし役員報酬は、経営者自身が見直しを検討できる費用です。
ただし、役員報酬の変更は慎重に行う必要があります。
税務上、利益調整と見なされないよう、定期同額給与などのルールを踏まえ、適切な時期と手続きで行うことが重要です。
業績が悪い時には、社員や現場の費用だけに目を向けるのではなく、経営者自身がコントロールできる費用も含めて考えるべきでしょう。
業績が悪くなると細かい数字ばかり見始める
不思議なことに、業績が良い時はあまり細かい数字を気にしません。
ところが業績が悪くなると、急に細かな実績分析が始まります。
もちろん分析は重要です。
しかし数字ばかり見ていても、問題は解決しません。
重要なのは現場を見ることです。
報告書だけでは本当のことは見えない
担当者は悪意がなくても、自分に不利な情報を積極的には出したがりません。
そのため、報告書だけでは実態が見えないことがあります。
経営者や管理職は、現場へ足を運び、現物を確認し、現実を知る必要があります。
これは私が提唱している5現主義にも通じる考え方です。
最も効果的なコストダウンは仕事をなくすこと
コストダウンというと、
- コピー紙削減
- 節電
- 備品購入削減
などが思い浮かびます。
もちろん無駄は減らすべきです。
しかし、最も効果が大きいのは
仕事そのものをなくすこと
です。
誰もが自分の仕事に誇りと責任を持っています。
しかし、
「前任者から引き継いだから続けている」
というだけの仕事も少なくありません。
その仕事は何のためにあるのか。
経営に役立っているのか。
今を知り、未来を判断する材料になっているのか。
もし目的が不明なら、一度止めてみるべきです。
本当に必要なら困ります。
困ったら再開すれば良いのです。
無意味な会議も見直すべき仕事の一つ
特に見直すべきなのが会議です。
会議そのものが悪いわけではありません。
しかし、次のような会議は本当に必要でしょうか。
- 発表や報告だけで、その後のアクションに結びつかない会議
- 意見の衝突を恐れ、差し障りのない意見だけで終わる会議
- 人間関係の悪化を恐れ、本質的な問題に踏み込まない会議
- 翌月の後半になってから前月実績や予実比較を行う会議
- 大人数が出張してまで集まるが、費用対効果が見えない会議
会議には人件費がかかります。
出張を伴えば、交通費、宿泊費、移動時間も発生します。
その会議は経営判断につながっているのか。
改善アクションにつながっているのか。
翌月ではなく、今すぐ役立つ情報を扱っているのか。
ここを見直すだけでも、大きなコストダウンになります。
在庫は利益ではなくキャッシュで見る
見せかけの利益を良くするために、年度末に在庫を積み上げる会社があります。
しかし、これは危険です。
在庫はキャッシュを眠らせています。
利益よりも大切な資金を固定化しているのです。
さらに不良在庫になれば、利益もキャッシュも失います。
利益だけではなく、CCC(Cash Conversion Cycle)の観点からも考えるべきでしょう。
変動費改善は売上数量の多い商品から
変動費削減を行う場合、売上数量の多い商品から着手することをおすすめします。
例えば1個あたり10円の改善でも、年間100万個販売する商品なら1,000万円の改善になります。
利益改善は派手な改革より、地道な改善の積み重ねで実現することが多いのです。
固定費削減で検討すべきこと
固定費削減では次のような項目を検討できます。
- 利用していないソフトウェアやサブスクリプションの解約
- 使われていない定例報告や会議の廃止
- 事務所や倉庫スペースの見直し
- 保守契約や通信費の見直し
- AI活用による事務作業削減
- 外注業務の内製化、または内製業務の外注化
ただし、教育費や設備保全費まで削ると、将来より大きな損失を招くことがあります。
固定費削減は、短期的な損益だけでなく、将来の競争力も考えて慎重に行うべきです。
まとめ
コストダウンの本質は、コピー紙や電気代を削減することではありません。
本当に必要な仕事だけを残し、利益とキャッシュを生み出す活動へ集中することです。
特に、目的が不明な仕事や、行動につながらない会議は見直す価値があります。
経営者は未来を創る人です。
その視点で仕事を見直すことが、最も効果的なコストダウンにつながります。



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