
前回の記事では、生成AIを使って文章を書くときに立ちはだかる「プロンプト」という壁について書きました。
ChatGPTをはじめとする生成AIは、とても賢くなりました。
「ブログを書いて」
「メールを書いて」
「SNSの投稿文を作って」
これだけでも、それなりの文章を作ってくれます。
しかし、「それなり」ではなく「自分が欲しい文章」を作ろうとすると、話が変わってきます。
誰に向けて書くのか。
どんな立場で書くのか。
専門的に書くのか。
親しみやすく書くのか。
結論から書くのか。
体験を交えて書くのか。
こうした条件を毎回AIへ説明する必要が出てきます。
そこでLinguaWriterでは、少し違う考え方を採用しました。
「どう書かせるか」を毎回指示するのではなく、「誰に書いてもらうか」を先に選ぶ。
それが「ライティングプロフィール」です。
同じ出来事でも、書く人が違えば文章は変わる
たとえば、新しいレストランへ行ったとします。
そこで食べた料理について文章を書くとしても、誰が書くかによって内容は変わります。
グルメライターなら、料理の味、香り、食感、盛り付けなどを詳しく表現するでしょう。
旅行ブロガーなら、お店へのアクセスや周辺観光と組み合わせて紹介するかもしれません。
SNS投稿が得意な人なら、細かな説明よりも、最初の一文で興味を引くことを重視するでしょう。
SEOを意識するWebライターなら、検索する人が知りたい情報を整理し、見出しを使って読みやすく構成するでしょう。
同じ店に行き、同じ料理を食べたとしても、文章は同じにはなりません。
なぜでしょう。
書き手には、それぞれ「視点」があるからです。
AIにも「書き手」を設定したらどうなるのか
生成AIでも同じことができます。
たとえばAIに、
あなたは中小企業向けのITコンサルタントです。
専門知識のない経営者にも理解できるように説明してください。
専門用語を使う場合は簡単な説明を加えてください。
結論を明確にし、実務でどう活用できるかを重視してください。
と指示すれば、AIはその役割を意識して文章を生成します。
一方、
あなたはSNSライターです。
難しい説明は避け、親しみやすい言葉を使ってください。
最初の一文で読者の興味を引き、テンポの良い短い文章にしてください。
と指示すれば、同じテーマでもまったく違う文章になります。
これがAIの面白いところです。
しかし同時に、私はこう思いました。
これを毎回入力する必要があるのだろうか。
毎回同じ指示を書くのはもったいない
仕事で文章を書く場合、実は毎回まったく違う文章を書いているわけではありません。
たとえば私が仕事で文章を書くなら、
- ITに詳しくない人にも理解できるようにする
- 結論だけでなく理由も説明する
- できるだけ具体例を入れる
- 専門用語を使いすぎない
- 実務でどう使えるのかを重視する
といった傾向があります。
これは毎回変わる「テーマ」ではありません。
その人が文章を書くときの基本的な考え方です。
ならば、それをあらかじめ保存しておけばいい。
LinguaWriterでは、この「書き手の特徴」をまとめたものをライティングプロフィールと呼んでいます。
「何を書くか」と「誰が書くか」を分ける
LinguaWriterの考え方をシンプルにすると、
「何を書くか」と「誰が書くか」を分ける。
ということになります。
「何を書くか」は、その都度変わります。
- テーマ
- 要点
- 結論
- 今回だけ追加したい指示
一方、「誰が書くか」はライティングプロフィールで決めます。
たとえば、
- SEOを意識したブログライター
- SNS向けの文章が得意なライター
- ビジネス文書に強いライター
- 初心者への説明が得意なライター
- 専門分野をわかりやすく説明するライター
といった具合です。
利用者は毎回長いプロンプトを書くのではなく、
「今回は、この人に書いてもらおう」
という感覚でプロフィールを選びます。
プロフィールを変えると、同じテーマでも文章が変わる
この仕組みの面白いところは、テーマを変えなくてもプロフィールを変更するだけで文章の方向性を変えられることです。
たとえばテーマを、
「中小企業は生成AIを導入すべきか」
とします。
ITコンサルタントのプロフィールを選べば、導入効果、コスト、情報管理、業務改善などを中心にした文章になるでしょう。
初心者向けライターなら、「そもそも生成AIとは何か」というところから説明する文章になるかもしれません。
SNSライターなら、
「生成AIって、大企業だけのものだと思っていませんか?」
といった一文から始めるかもしれません。
テーマは同じです。
しかし「誰が書くか」を変えることで、文章の切り口が変わります。
これは単なる文体変更とは少し違います。
「です・ます調にする」「柔らかい文章にする」という表面的な変更だけではなく、
何を重要だと考え、どこから説明し、どんな読者を意識するのか。
そこまで含めて書き手を変えることを目指しています。
自分自身を「ライティングプロフィール」にする
さらにLinguaWriterのアプリ版では、用意されたプロフィールを使うだけではなく、自分自身でライティングプロフィールを作ることもできます。
たとえば、
私は中小企業向けのITコンサルタントです。
ITの専門知識がない経営者にも理解できる文章を心がけています。
難しい技術を説明するときは、できるだけ身近な例を使います。
メリットだけではなく、デメリットや注意点も説明します。
といった自分の考え方や文章の特徴をプロフィールとして登録できます。
するとAIに文章を書かせるたびに、同じ説明を繰り返す必要がありません。
「自分はどういう立場で、どういう文章を書きたいのか」
を一度プロフィールとして整理しておけば、その後の文章生成に利用できます。
アプリ版では複数のライティングプロフィールを登録できるので、
仕事では「ITコンサルタント」。
ブログでは「自分らしいコラム」。
SNSでは「短く親しみやすい文章」。
というように、用途によって使い分けることもできます。
文章を書くたびに「AIの設定」をやり直さない
私はライティングプロフィールを、単なるテンプレートとは考えていません。
むしろ、
AIに文章を書いてもらうときの「書き手の設定」
に近いものだと思っています。
人間に文章をお願いするときも、
「この人なら技術的な記事が得意」
「この人ならSNSが上手」
「この人なら初心者向けに説明するのが上手」
と考えて依頼する人を選びます。
AIでも、それに近いことができるのではないか。
それがLinguaWriterの発想です。
でも、自分でプロフィールを作るのも難しくないか?
ここまで読んで、こんな疑問を持つ人もいると思います。
「プロンプトを書くのが難しいからプロフィールを使うのに、そのプロフィールを自分で作るのも難しいのでは?」
その通りです。
すべての利用者に、自分でライティングプロフィールを作ってもらうのでは、結局プロンプトを作るのと似た問題が起きてしまいます。
そこでLinguaWriterでは、もう一つの仕組みを用意しました。
あらかじめ用途や目的に合わせたライティングプロフィールを用意し、その中から選べるようにする。
そのために作ったのがLinguaWriter Portalの「ライティングプロフィールライブラリ」です。
ブログ、SNS、ビジネス、マーケティング、専門分野など、さまざまな目的に合わせたプロフィールから、自分の用途に近い「書き手」を探すことができます。
さらにWeb β版なら、ライブラリからプロフィールを選び、そのままブラウザ上で文章生成を試すこともできます。
LinguaWriterを試してみる
AIへの命令を考えるのではなく、「書き手」を選ぶ
生成AIが登場したことで、文章を書く方法は大きく変わりました。
しかし、その入口に「プロンプト」という新しい知識が必要になったのも事実です。
もちろん、プロンプトを詳しく理解し、自分で細かな指示を書ける人には、それが最も自由度の高い方法かもしれません。
でも、すべての人がそこを目指す必要はないと思います。
書きたいことを考えるのは人間。
どう文章にするかはAIが手伝う。
その間をつなぐものとして、「ライティングプロフィール」があってもいい。
プロンプトを書く時代から、プロフィールを選ぶ時代へ。
それがLinguaWriterで試している、新しいAIライティングの形です。
では実際に、どんなライティングプロフィールを選べるのでしょうか。
次回は、多数の「AIの書き手」を集めたLinguaWriter Portalのライティングプロフィールライブラリについて紹介します。
次回:多数の「書き手」から選ぶ|LinguaWriter Portalとライティングプロフィールライブラリ
この記事が、どこかで
「ためになるかもしれない」と思っていただけたら嬉しいです。


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