
海外で仕事をしていると、「日本では考えられないようなこと」が時々起きます。
特に行政や役所関係では、日本の感覚がそのまま通じない場面も少なくありません。
今回ご紹介するのは、数ヶ月間止まっていた輸出許可が、税関署長の“突然の異動”によって、一気に解決したという不思議な出来事です。
日本へ返送したい材料が輸出できない
マレーシア工場が量産を開始して数ヶ月。 社内には、日本へ返送予定の材料が溜まっていました。
それらは比較的高価な材料で、正式に税関へ輸出申告を行う必要がありました。
しかも税率はゼロ。
私は当然、
「必要書類を提出すれば、すぐ許可が下りるだろう」
と思っていました。
ところが、現実は全く違いました。
担当スタッフが何度税関へ足を運んでも、許可が下りません。
理由を聞いても曖昧。
追加資料を求められ、提出しても進まない。
「もう少し待ってください」
そればかりでした。
気づけば、数ヶ月が経過していました。
税関署長からの呼び出し
そんなある日。
税関側から、
「署長が面談したい」
という連絡が入りました。
私は、
「ようやく話が前に進む」
と期待しました。
そして指定された日、私はスタッフと共に税関へ向かいました。
約束の時間は午後1時。
東南アジアでは時間にルーズなケースも多いですが、そこは日本人。 私は12時50分には現地へ到着していました。
ところが、13時になっても呼ばれません。
13時15分。 まだ呼ばれません。
13時30分。 状況は変わりません。
スタッフに確認へ行ってもらうと、
「待ってください」
としか返ってこない。
マレーシア役所あるある
当時のマレーシアでは、役所仕事について様々な話を聞いていました。
もちろん全員ではありませんし、あくまで一般論ですが、
- 朝はゆっくりスタート
- ティータイムが長い
- 昼休みも長い
- 金曜は礼拝優先
というような、日本とはかなり違う空気感がありました。
ですので、私は内心、
「また誰か席を外しているのだろう」
くらいに考えていました。
しかし、この日は少し様子が違いました。
突然の展開
14時を過ぎた頃、ようやく係員から呼び出しがありました。
そして、あっさりこう言われたのです。
「輸出許可が下りました」
私は少し拍子抜けしました。
数ヶ月止まっていた話が、突然終わったのです。
理由を聞いてみると、驚くべきことが分かりました。
実は昼休み中に、税関署長が急遽異動になっていたのです。
しかも、その異動はかなり突然だったようでした。
そして新しく来た署長は、案件内容を細かく把握しておらず、
「君が問題ないと思うなら許可していいよ」
と担当係員へ判断を任せたというのです。
数ヶ月止まっていた案件が、一瞬で動いた
それまで、何ヶ月も止まっていた案件でした。
追加資料。 確認。 保留。 再確認。
それが、署長交代によって一気に動きました。
もちろん、単純に運が良かっただけではありません。
担当スタッフは、その数ヶ月間、何度も税関へ足を運び、粘り強く交渉を続けていました。
税関担当者との関係づくりや、細かな配慮も続けていました。
だからこそ、最後に流れが変わった時、一気に前へ進んだのだと思います。
しかしそれにしても、
「昼休みに署長が異動」
という展開は、日本ではなかなか想像できません。
海外では“人”で流れが変わることがある
この出来事を通して感じたのは、
海外では制度だけでなく、“人”によって流れが大きく変わる
ということでした。
もちろん日本でも人間関係は重要です。
しかし海外では、日本以上に「担当者」「責任者」「その場の判断」が大きく影響する場面があります。
時には、
- ルール
- 書類
- 正論
だけでは動かないこともあります。
逆に、人が変わった瞬間、一気に進むこともある。
あの時の出来事は、その典型でした。
まとめ
マレーシアで体験したこの出来事は、今振り返っても非常に不思議なタイミングだったと思います。
数ヶ月止まっていた案件が、署長交代という偶然によって、一気に解決へ向かいました。
もちろん、そこにはスタッフたちの粘り強い努力もありました。
奇跡や偶然というものは、何もしていない人のところには来ません。
できることを積み重ねていたからこそ、最後に流れが変わった時、それを掴むことができたのだと思います。
海外での仕事は、時に想像を超える出来事の連続です。
だからこそ面白いのかもしれません。



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