
ブログを始めようと思ったとき、最初に考えたことがあります。
「自分に何が書けるだろう?」
世の中には、ITに詳しい人がたくさんいます。
マレーシアについて詳しい人もいます。
会社経営について語れる人もいます。
そのどれか一つを取り上げたところで、私より詳しい人はいくらでもいるでしょう。
では、私がブログを書く意味はどこにあるのか。
そこで考えたのが、
「一つで珍しくなれないなら、経験を掛け合わせたらどうだろう」
ということでした。
100人に1人を3つ掛けたら100万分の1
当時、こんなことを考えました。
山梨県人で、マレーシアに住んだことのある人。
仮に100人に1人。
ITの仕事をしていて、マレーシアに住んだことのある人。
これも仮に100人に1人。
そして、マレーシアで会社経営を経験したことのある人。
これも100人に1人としましょう。
もちろん、これは統計を調べて算出した数字ではありません。
自分の経験の希少性を考えるために、分かりやすく「100人に1人」と仮定しただけです。
でも、
100 × 100 × 100 = 1,000,000
です。
一つ一つを見れば、それほど珍しくない。
ところが三つを経験した人となると、一気に少なくなる。
「だったら、100万分の1の経験を持つ人として、自分にしか書けないことがあるんじゃないか」
そんな発想が、tecci.netを始めたきっかけの一つでした。
一番になる必要はない
この考え方をすると、少し気持ちが楽になります。
私はITの世界で一番詳しい人ではありません。
マレーシア研究の専門家でもありません。
経営学者でもありません。
でも、1980年からITの仕事を続け、マレーシアで8年間暮らし、現地企業の経営にも携わりました。
それぞれの分野で一番になる必要はない。
自分が実際に経験してきたことを掛け合わせればいい。
そう考えました。
だから、このブログにはITの記事もあれば、マレーシアの記事もあります。
会社経営について書くこともあれば、食べ物や文化、日常生活でふと疑問に思ったことを書くこともあります。
一見すると、ずいぶんバラバラなブログに見えるかもしれません。
でも私の中では、すべて一つにつながっています。
自分が経験したこと、自分が疑問に思ったこと、自分で試したことを書く。
それが、このブログの基本です。
60代になったら、また掛け算が増えた
ブログを始めた頃には、今のような生成AIはありませんでした。
ところが60代になった今、私はAIを使っています。
それだけではなく、AIを利用したスマートフォンアプリやWebサービスまで自分で作るようになりました。
最近作ったものの一つが、文章作成を支援する「LinguaWriter」です。
若い頃の自分に、
「60代になったらAIを使ってアプリを作っているよ」
と言っても、おそらく信じなかったでしょう。
でも、これもまた新しい掛け算になりました。
IT × マレーシア × 会社経営 × 60代 × AI・アプリ開発。
経験は、年齢とともに減るものではなく、増えていくものなのかもしれません。
ITを45年以上やっているのに、タイピングが苦手
そして、もう一つあります。
私は1980年からITに関わってきました。
もう45年以上になります。
プログラムもずいぶん書きました。
それなのに――
私は今でもタイピングが苦手です。
というより、好きではありません(笑)。
「ITの仕事を45年以上やっているのに?」
と思われるかもしれません。
でも、これがLinguaWriterを作るきっかけになりました。
書きたいことは頭の中にある。
人に話せば説明できる。
でも、それをキーボードで一から文章にするのは面倒。
だったら、
できるだけタイプしないで文章を作れないだろうか。
そう考えました。
スマートフォンなら話しかける。
伝えたいことをいくつか入力する。
あとはAIに文章として整えてもらう。
自分が苦手だったからこそ、「こんなものがあったら便利なのに」と思ったわけです。
考えてみれば、これも一つの掛け算です。
ITが得意 × タイピングが苦手。
一見すると矛盾しています。
でも、その矛盾が新しいものを作るきっかけになりました。
苦手なことも、希少価値になる
以前の私は、希少価値というものを、
「何ができるか」
の掛け算で考えていました。
でも最近は、少し考え方が変わりました。
得意なことだけを掛け合わせる必要はないのではないか。
海外で暮らしたこと。
仕事で経験したこと。
偶然出会った人。
失敗したこと。
遠回りしたこと。
そして、
苦手だったこと。
それらも全部、その人を作っている経験です。
私の場合、タイピングが苦手だったことがLinguaWriterにつながりました。
もしタイピングが大好きで、文章を入力することに何の苦痛も感じていなかったら、LinguaWriterを作ろうとは思わなかったかもしれません。
そう考えると、弱点というのも案外悪いものではありません。
「普通の経験」を掛け合わせる
「自分には特別な経験なんてない」
そう思う人は多いかもしれません。
でも、一つ一つの経験が普通でも構わないのだと思います。
出身地。
仕事。
趣味。
住んだ場所。
出会った人。
成功したこと。
失敗したこと。
得意なこと。
苦手なこと。
一つだけなら、同じ人はたくさんいるでしょう。
でも、それらを全部掛け合わせていくと、まったく同じ人生を歩いてきた人はほとんどいなくなります。
希少価値は、特別な才能を一つ持つことだけから生まれるものではない。
自分が歩いてきた普通の道を掛け合わせることでも、生まれるのではないでしょうか。
100万分の1の、その先へ
tecci.netを始めた頃、私は「100万分の1になれたら面白い」と考えていました。
あれから経験はさらに増えました。
そして60代になった今も、まだ新しい経験が増え続けています。
AIを使ってみる。
アプリを作ってみる。
Webサービスを作ってみる。
英語でも試してみる。
そうすると、今度は別の言語でも試したくなる。
なかなか終わりません(笑)。
どうやら私は、完成すると次のことをやりたくなる性格のようです。
だから、隠居できる日はまだ少し先なのかもしれません。
でも、それでいいと思っています。
新しいことを経験するたびに、また一つ自分の掛け算が増える。
そして、その経験のどれかが誰かの役に立ったり、
「へぇ、そんな考え方もあるのか」
と思ってもらえたりする。
それが、この「ためになるかもしれないブログ」を続けている理由の一つです。
100万分の1になるために、特別な人になる必要はない。
自分が歩いてきた道を振り返ってみる。
そこにはもう、他の誰ともまったく同じではない「経験の掛け算」ができているのかもしれません。
この記事が、どこかで
「ためになるかもしれない」と思っていただけたら嬉しいです。




コメント